表現者 田中槇乃

Tanaka Makino

表現者。

個展やグループ展、公募展など国内外で作品を発表。

2023年第二回文学レボリューション大賞受賞をきっかけに、小説作品『あたらよに うたかたの ぼくらは』で作家デビュー。書籍の装画も手掛ける。

絵と言葉と時々小説。
それはいつかのわたしのモニュメント。

 

Photo  Namazu Masataka 

創るもの Concept

現代において、物質世界の豊かさは溢れています。少なくともわたしの住む日本においてはそのように感じます。それと同時に災害や感染症の流行、AIの登場など世界が一変するような出来事も訪れ、わたしたちはたえず変化の中にいます。わかりやすい目に見えるものや多く目にする情報、また現代において常識とされる固定観念に囚われることも少なくありません。

一方で、人類の歴史の中ではアミニズムをはじめとする見えない世界も語られることがしばしばあります。特に日本には八百万の神という概念があるように、古代より見えないものにまで神が宿ると捉える土壌があり、見えるもの、見えないもの、自然、宗教、人種などを超えて思いやりと調和を大切にし、今日まで日本人としてのアイデンティティがはぐくまれてきました。

わたしが創るものには、夢や無意識など見えない感覚をモチーフに表現するものが多くあります。シュルレアリスムやアンリ・マティス(1869~1954)に影響を受け、コラージュやオートマティスム、自由な色彩などを用いて無意識の意識化や、見える世界と見えない世界の統合を作品に反映させています。

わたしがそのような感覚を探求し表現する原動力となっているのは、2020年に脱髄疾患(CIS)という病を発症し、寝たきりとなった体験が大きな影響を与えています。麻痺や感覚異常のある身体と対峙したリハビリの過程は見えない感覚を探る作業の連続であり、身体と精神を行き来しながら、自分自身と対話し続けることでした。今まで信じていた概念を放棄しなければ先へ進めません。身動きが取れない制限された身体を通して、意識という自由で広大なものを同時に感じ新たな感覚を創造していくこと。それは、物質である身体と見えない意識を調和し統合していく作業そのものであり、身体や命の神秘性を感じる体験でした。治療とリハビリの末、寝たきりから自力歩行ができるまで回復したわたしは、退院直後より後遺症の残る動きにくい手を使い創作を始めました。

わたしにとって表現は、見える世界と見えない世界を行き来し繋いでいく行為です。頭の中や心のイメージなどの見えない感覚を、自分自身と対話しながら見える形に表した作品は、自身の内の世界と物質世界の融合です。コラージュや切り絵は、断片的に捉える感覚を繋ぎ合わせる過程を表すのにふさわしく、たびたび登場する点てんは、その反復により瞬間のエネルギーを捉えています。技法に囚われない自由な作風と抽象と具象を行き来する独自の世界観をもち、絵と共に現れる詩を「言葉」作品として表現することも多くあります。また、文学というアプローチで小説作品を手掛け表現の幅を広げています。

目まぐるしく変化する時代の転換期ともいえる現代において、物質優位の見える世界と、目では捉えられないがたしかに“ある”と感じる世界の調和をとることは大切です。観る人が内にある感覚や無意識に触れて調和し、心身共に軽やかになることがわたしの望みです。

略歴 Biography

  • 第1回カンカク展(福岡アジア美術館) 入選
  • 第12回躍動する現代作家展(国立新美術館) 入選
  • 第2回文学レボリューション 大賞
  • 第16回躍動する現代作家展(国立新美術館) 入選

これまでの歩み Exhibitions

2021

  • 個展「只今(ただいま) 」 徳島/阿南

2023

  • 「第1回カンカク展」 福岡アジア美術館/博多
  • グループ展「Arte de aco主催 絵のある生活 vol.28」 東京/代官山
  • 「第12回躍動する現代作家展」 国立新美術館/東京

2024

  • 常設展示 gallery24.7 /愛知
  • 個展「てんてん展」 徳島/阿南
  • 個展「お山の小さな展覧会」 徳島/佐那河内
  • 個展「あいにいきます展 」 徳島/海部

2025

  • グループ展「CROSS OVER vol.50 Japanese Art Collective」 マレーシア/ジョホール・バル
  • 「第16回躍動する現代作家展」 国立新美術館/東京

書籍 Books

2025

小説『あたらよに うたかたの ぼくらは』電子書籍版・書店流通版 /22世紀アート

https://www.amazon.co.jp/dp/B0FWKDRGW3